昭和50年代初めから京都府総合資料館所蔵「法隆寺執奏帳」をはじめ、多数の行政文書修復を皮切りに、多くの古文書をこれまでに修復してまいりました。その中でも後世に残る歴史的大発見となった、徳禅寺文書※1は元東京大学名誉教授・史料編纂所所長保立道久先生、現文化庁国立近現代建築資料館研究員・元京都府教育庁指導部文化財保護課の田良島哲先生にご指導を賜り、これまでに見過ごされてきた襖絵の下張文書が初めて注目されることとなった活気的な出来事でした。その後も京都府歴史資料館所蔵の岡田家文書、京都永運院文書、京都大中院文書(いずれも修復後に、京都市指定文化財に指定されております)等数々の文書修理に携わる中で、酷い虫食いの箇所を修復する漉填め装置(現在のリーフキャスティング)が誕生しました。 →漉填め法についてはこちらから
※1京都大徳寺塔頭徳禅寺方丈内狩野探幽筆襖絵修理の折に出現した文書で、重要文化財に指定されている徳禅寺法度・正伝庵法度を含んだ文書群を総称する。
古書修理
経年劣化や酷い虫喰いの文書は開封する事はとても困難です。無理に開封しようとすると逆に本紙を傷めてしまい修復が困難になります。
虫喰と経年劣化により開封できなくなった本の解体修理
虫喰により本の頁が接着してしまった例。本紙を1枚1枚分離し、分離後は1紙の状態で乾燥させ、その後裏打ちを行います。
修理前調査
本紙を修理する前には、紙料同定調査も行います。修理の際は、できる限り本紙と同じ材質の紙を使用して修理を行うので、数十年後に経年劣化した場合も風合いや調和を乱すことがありません。(証明書発行も承っております。(有料)※連携機関での証明書発行はおおよそ1〜2ヶ月程度お時間を頂戴しております。)
文化財保存修理を専門に行う弊社では、厳選された材料を古文書修理でも使用しております。表具用和紙は、文化財の選定保存技術者が漉き上げた和紙を十分に寝かしつけ、そして代々伝わる古糊は毎年大寒の時期に水替えを行い、今なお作り続けております。(詳しくは。表装材料の選定)